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名画で読み解く ロマノフ家 12の物語  中野京子

「怖い絵」から中野京子氏の著作に興味を持って…。
エルミタージュ展にも行こうと思っていたので読んでみました。
絵画をテーマに歴史を辿っていくのは、私にとっては頭に入りやすかったですね。
「冬の旅人」のモデルとなった山下りん も取り上げられていて。
(あそこまで膨らませたのは皆川女史スゴイな、とも思いましたが…。)
各皇帝の軍服の絵があるのが個人的にツボでした。
イリヤ・レーピン『ニコライ皇太子』(1986年)の全身像やボリス・クストーディエフ『皇帝ニコライ二世』(1915年)はディテールや色がわかり今後の参考になるわ、と。(今後?)
ロマノフ王朝の終焉が衝撃的なのは不気味な秘密主義が連綿と続いてきたから、と著者が”あとがき”に書かれているのが印象的でした。

前史
第1章 ワシーリー・スリコフ『フョードシア・モロゾワ』
第2章 シャルル・フォン・ステュイベン『ピョートル大帝の少年時代の逸話』
第3章 ニコライ・ゲー『ピョートルと息子』
第4章 カルル・ヴォン・ロー『エリザヴェータ女帝』
第5章 コンスタチン・フラヴィツキー『皇女タラカーノヴァ』
第6章 ウィギリウス・エリクセン『エカテリーナ二世肖像』エルミタージュ展に展示
第7章 ニコラ=トゥサン・シャルレ『ロシアからの撤退』
第8章 ジョージ・ドゥ『アレクサンドル一世』
第9章 イリヤ・レーピン『ヴォルガの船曳き』
第10章 山下りん『ハリストウス 復活』
第11章 ボリス・クストーディエフ『皇帝ニコライ二世』
第12章 クロカーチェヴァ・エレーナ・ニカンドロヴナ『ラスプーチン』

掲載された絵はほとんどカラーでしたが小さく、本書が新書サイズなのが残念です。
このシリーズはハプスブルク家とブルボン家もあるので機会があれば読もう。

秘密主義のために「実はまだ生きている」という貴人伝説が飽きもせず語られてきた、とも”あとがき”にありましたが、皇女アナスタシアもさることながら、オル窓ファンで「アレクは生きていた」と考える方もいらっしゃるのもロシアなら有りかも知れませんね…。ファンサイトでその考えを知るまで想像だにしなかった私…。

《覚書》11/20追記 本書より
ユロージヴィ(聖愚者):一切の財産を放棄し、痴愚として狂人として生きることを選んだ苦行者。苦行用の重い鎖を首からぶら下げているのが証。社会の埒外(らちがい)に置かれているため、言動がいかに常軌を逸していても許される。ラスプーチンも最初はそうであった。
アナスターシャはラテン語で「再生」の意味がある。
ロマノフ王朝開祖ミハイルがツァーリに選ばれた場所はイパーチェフ修道院、
最期の皇帝ニコライが処刑されたのはイパーチェフという名の男の館だったというのが不思議な一致である。

読書記録:11月中旬


by j_innocence | 2017-11-17 00:01 | | Comments(0)
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